Updated on October 16, 2020 福島第一原子力発電所の事故の原因と対策記載事項は不定期に追加、変更されます。画像は著作権で保護されている場合があります。 |
まえがき2020年10月1日、私が住む千葉県柏市では「草木ゴミ」の放射能濃度が低下したため「可燃ゴミ」として収集するよう変更されました。福島原発事故から9年7ヵ月もの間、柏市の家庭から出る「草木ゴミ」は放射性不燃ゴミとして取り扱われていたのです。 2018年10月19日付け読売新聞の「福島第一 処理水資料1276か所誤り 放射性物質取り違え」と題する記事では「処理水を巡っては、トリチウム以外の放射性物質が国の排水基準を上回る濃度で残留しているのに『トリチウム以外は除去済み』と説明し続け、先月、東電幹部が謝罪したばかり。」と報じられています。大量に保管されながら増え続けている処理水の処分については、以下の「汚染水処理」で記述しているように現実的な処分が困難になっていますが、このような東電のデータ取り扱いの信頼性が更に疑われるような事態が発覚すると、本当に絶望的になります。 千葉県柏市の大堀川の堤には、福島第一原発事故の後、放射線が高いことを示す注意書きが立てられていましたが、2017年に左の写真のように図入りの掲示板に立て替えられました。柏市には原発事故の数日後の2011年3月14日頃北東の風が吹いていた雨の日に原発事故による放射性物質が降り注いだために、その後、学校や公園など公有地の地表ははぎとられ、各公有地中央に掘った穴に埋蔵されました。しかし河川や、個人の所有地は放置されたため、2018年10月現在においてもまだ、燃えるごみの中でも草木は不燃ごみとして回収され、焼却されないまま恐らく低レベル放射性廃棄物として秋田県に移送されています。このようなことは、福島県で被災されたリ、避難先から帰還できない方々、また、近隣他県の方々からすれば些末なことと思われますが、目に見えない放射線は人体に危険であることは間違いなく、忘れて済ませることではありません。福島第一原発事故の原因と対策について無関心ではいられません。 東日本大震災に起因する東京電力福島第一原子力発電所の事故について報道され、記憶に残る事故の原因は以下のとおりでした。
従って、対策は次のようになるものと考えていました。
しかし、上記のような報道はなされないまま年月が経過し、震災後停止されていた全国の原発が、原子力規制委員会の審査を経て再稼働されつつあります。 東京電力が公開しているpdf文書の中に、「福島第一原子力発電所の事故の経過と教訓(東電pdf1と略す)」[1]および「柏崎刈羽原子力発電所の安全対策[設備対策編](東電pdf2と略す)」[2]という2つの文書があります。これらを手掛かりに、原因と対策を考えたいと思います。 「福島第一原子力発電所の事故の経過と教訓」1号機の事故について地震発生時、1号機は直ちに制御棒が挿入され、設計通り自動で原子炉が停止しました。1号機は地震により外部電源を全て失い、復水器などは使用できない状況でしたが、非常用ディーゼル発電機が自動起動し、非常用復水器による炉心の冷却が始まりました。しかし、地震から約50分後の津波とこれに伴う浸水により、非常用ディーゼル発電機やバッテリー(直流電源)、電源盤等すべての電源を失いました。全ての電源を失ったことにより、非常用復水器が機能を喪失し、高圧注水系も起動できなくなりました。加えて、監視・計測機能も失ったため、原子炉や機器の状態を確認することができなくなりました。 この後、圧力容器内の水は蒸発し続け、約4時間後、燃料が水面から露出して、炉心損傷が始まります。 露出した燃料棒の表面温度が崩壊熱により上昇したため、燃料棒の表面が圧力容器内の水蒸気と反応して、大量の水素が発生しました。格納容器の損傷部(温度上昇によって生じた蓋接合部等の隙間と考えています)から漏れ出た水素は、原子炉建屋上部に溜まり、何らかの原因により引火して、津波襲来から約24時間後の3月12日午後3時36分に爆発しました。また、溶融した炉心が圧力容器の底を貫通し、格納容器の床面のコンクリートを侵食しました。 水素爆発に伴う周辺の瓦礫の散乱等は作業の大きな妨げになり、2号機、3号機への対応が遅れる原因ともなりました。 2号機の事故について地震発生時、直ちに制御棒が挿入され、設計通り自動で原子炉が停止しました。地震により外部電源をすべて失いましたが、非常用ディーゼル発電機が自動起動し、原子炉隔離時冷却系も運転することができました。しかし、その後の津波により、非常用ディーゼル発電機やバッテリー、電源盤等、全ての電源を失い、計器類の監視・計測機能や操作機能、照明等が使用不能となりました。 ここまでは、1号機とほぼ同じ経過を辿りましたが、2号機では原子炉隔離時冷却系が津波襲来前から動作しており、全電源を失った後も動作していたことから、約3日間注水を続けることができました。この間、他の冷却系統での注水を行なうべく、水没を免れた電源盤に電源車をつなぎ、電源確保の作業を進めていましたが、12日午後3時36分の1号機の水素爆発によりケーブルが損傷し、電源車が使用不能となりました。また、14日の午前11時1分には3号機で水素爆発が発生し、準備が完了していた消防車及びホースが損傷し、使用不能となりました。同日午後1時25分に原子炉隔離時冷却系の停止が確認された後、減圧に時間がかかり、水位が低下、炉心損傷に至り、これと同時に水素が発生しました。 炉心損傷の後の圧力容器及び格納容器の損傷に伴い、水素が原子炉建屋に漏洩したと推定されますが、2号機では原子炉建屋上部側面のパネルが1号機の水素爆発の衝撃で開きました。このため、水素が外部へ排出され、原子炉建屋の爆発が回避されたと推定されます。 一方で、2号機からは1〜3号機の中で最も多くの放射性物質が放出されたと推定しています。これは、1, 3号機では、圧力抑制プールの水によってある程度放射性物質を取り除いてから格納容器の外へ気体を放出する「ベント」という操作が成功したことに対し、2号機ではベントのラインを開放することができず、ベントに失敗、格納容器から直接放射性物質を含む気体が漏洩したためと推定しています。 3号機の事故について地震発生時、3号機は直ちに制御棒が挿入され、設計通り自動で原子炉が停止しました。3号機は地震により外部電源をすべて失い、復水器などは使用できない状況でしたが、非常用ディーゼル発電機が自動起動し、原子炉隔離時冷却系も運転することができました。その後津波の襲来とこれに伴う浸水によって交流電源を全て失ったものの、直流電源設備は1号機、2号機と異なり、少し高い位置にあったことから浸水を免れました。このため、原子炉隔離時冷却系や高圧注水系の運転・制御を継続できただけでなく、計器類による原子炉の状態監視も続けることができました。 1日半程度注水を続けた後、低圧(ディーゼル駆動消火ポンプ)での注水に切り替えるために高圧注水系を停止しましたが、この後の減圧に時間がかかり、水位が低下、水素が発生するとともに炉心損傷に至りました。 減圧を確認した後、消防車による注水を開始しましたが、格納容器から漏れ出した水素によって、3月14日午前11時1分に水素爆発が発生しました。 「福島第一原子力発電所の事故の経過と教訓」のまとめ1. 外部からの送電(交流)喪失 東日本大震災による震度6強の揺れで外部からの送電(交流)が喪失したと記載されているが、地震の揺れにより送電が喪失した原因は記載されていないので、送電線鉄塔が倒れたのか、揺れにより送電線が切断したのか、あるいは別の不具合によるものか不明である。 2. 全電源喪失 地震により原子炉は緊急停止し、外部電源を失ったため、非常用ディーゼル発電機が自動起動したが、津波による浸水により、非常用ディーゼル発電機(交流)およびバッテリー(直流)を喪失した。ただし、3号機のみバッテリーへの浸水を免れ、原子炉隔離時冷却系や高圧注水系の運転・制御を継続できただけでなく、計器類による原子炉の状態監視も続けることができた。 3. 「冷やす」機能の喪失 電源の喪失等により、冷却機能がいずれも使えなくなってしまう。 4. 水位低下 崩壊熱により、圧力容器内の水が蒸気になり、数時間で水位が炉心まで低下した。 5. 炉心損傷・水素発生 水位低下に伴い燃料が露出し、温度が上昇する。高温の燃料は水蒸気と反応して水素を発生、燃料自体も高温により損傷する。2号機では、原子炉隔離時冷却系の停止確認後、減圧に時間がかかり、水位が低下して炉心損傷している。3号機では、高圧注水系を停止後の減圧に時間がかかり、水位が低下して炉心損傷している。 「1, 3号機では、圧力抑制プールの水によってある程度放射性物質を取り除いてから格納容器の外へ気体を放出する「ベント」という操作が成功したことに対し、2号機ではベントのラインを開放することができず、ベントに失敗」と記されているので、1, 3号機では「逃がし安全弁」も「格納容器ベント」弁も開放されたと考えられる。2号機では「逃がし安全弁」と「格納容器ベント」弁のどちらを開くことができなかったのか明確でないが、06ページ右下の「格納容器ベント」説明図の注釈に「※弁の動作には交流電源が必要なため、福島第一原子力発電所では小型発電機を用いて対応した」と記されているので、「格納容器ベント」弁の操作に時間がかかり、「減圧に時間がかかった」と思われる。 東電pdf2、40ページのラプチャーディスクの説明において「福島第一原子力発電所2号機では、格納容器の圧力抑制プール側の圧力が上がらず、ベントができませんでした」と記されているので、ラプチャーディスクが破れなかったこともベント失敗の一因と考えられる。しかし、格納容器が破損するまでラプチャーディスクが破れなかったことは大問題である。本来、圧力抑制プールと排気筒の間に「格納容器ベント」弁などは不要であり、ラプチャーディスクのみで遮断しておいて、異常圧力上昇による格納容器破損が防止されるべきである。それとも設計時にラプチャーディスクの信頼性が低かったということか(福島原発事故によって実証されたごとく)?もしも信頼性が低かったのであれば、「格納容器ベント」弁とラプチャーディスクは直列に配置すべきではなく、並列に配置すべきであったであろう。いずれにしても設計上の大問題である。 4号機水素爆発の原因説明図において3号機のベントは3/13 24:00/3/14 0:00頃行われたように解釈される。その場合、3/13 02:42高圧注水系停止から3/13 24:00ベント開放まで、小型発電機を用いて対応するのに時間がかかったと思われる。 6. 水素・放射性物質漏洩 圧力容器、格納容器が損傷し、水素や放射性物質が原子炉建屋内に漏れだす。原子炉建屋内に水素が蓄積した1、3号機は水素爆発に至る。 7. 炉心損傷した溶融燃料の冷却 消防車による注水開始までは2、3号機については記述されているが、1号機については記述なし。消防車から常設循環ポンプ?への切り替えは一切記載なし。 「柏崎刈羽原子力発電所の安全対策[設備対策編]」◆「深層防護」に関する疑問(東電pdf2、04ページ:以下p04というように略記する) 対策に関する説明は、唐突に「深層防護の考え方と、事故から得た教訓に基づいた対策を行います」という文で始まっているが、なぜ「深層防護」という用語を持ち出したのか、IAEAの基準にならったのか、原子力規制委員会に指導されたのか説明がない。既存の設備や対策を単純に深層防護の第1〜4層に当てはめて、見栄え良く列記しただけのように思われる。 福島原発事故で実際に大量の放射性物質が放出され、原発の敷地外も含めた緊急時の対応を経験している東京電力が、なぜ深層防護の第5層(「放射性物質が大規模に放出された場合の影響の緩和が目的で、原発の敷地外も含めた緊急時の対応方法を定める」)について記述しないのか、検討後記載する予定があるのか、何の説明も記されていない。 一例として、関西電力のホームページ[3]では、「国内の安全規制では、これまで主に第1から第3の深層防護レベルについて、設計運用面に反映されてきたが、今回の新規制基準策定においては、IAEAなどの国際基準にならい、5層の考え方を取り入れている」と説明されている。東電の説明は不十分である。 ◆周辺住民避難訓練について記載がない。 産経ニュース「原発事故想定 国の総合防災訓練を来年実施へ 米山隆一新潟県知事とエネ庁の日下部聡長官が合意」[4]では、米山隆一知事と経済産業省資源エネルギー庁の日下部聡長官が10日、新潟県庁で会談し、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(柏崎市、刈羽村)の重大事故に備えた国の総合防災訓練を来年中に実施する方向で合意した。県は年内にも広域避難計画を策定した上で避難訓練に取り組み、国の総合防災訓練に向けた準備を整える構えだ」と報道されている。 ◆非常用ディーゼル発電機に関する疑問(p12 - p18) 重要エリアの止水対策、変圧器への浸水対策、開閉所への浸水対策は記されているが、非常用ディーゼル発電機への止水対策が記されていない。非常用ディーゼル発電機の補完設備として、電源車および空冷式ガスタービン発電車の追加配備は記されているが、非常用ディーゼル発電機自体の防水対策、水冷式から空冷式への改善、吸排気管延長による吸排気口の高所移動等の対策が一切記されていない。非常用ディーゼル発電機は現状のまま放置するのか? ◆原子炉緊急停止後の冷却手順(p25) 制御棒挿入後、高圧注水を行う前に、発電用タービンから復水器への蒸気供給と復水器から炉心への給水を継続して、交流電源を自家用に確保しつつ(外部電源に頼らず)炉心冷却を継続することはできないのか?蒸気温度が低下して発電タービンの回転を継続できなくなったときには、復水器のみを運用継続できないのか?既存の給水ポンプが電動であれば、高圧注水系のような小型蒸気タービンに変更できないのか? ◆高圧代替注水系の手動起動(p29) 直流電源喪失時の対策として原子炉隔離時冷却系を手動起動可能に改造することは好ましい対策であるが、同様に高圧代替注水系も手動起動可能とすることが望ましい。 ◆逃がし安全弁駆動用空気圧縮機(p31) 逃がし安全弁駆動用空気圧縮機の動力が記されていないが、電動ではなく、専用バッテリー付き、手動ロープ起動可能なガソリンエンジンでなければならない。 ◆逃がし安全弁駆動用予備ボンベ(p33) 逃がし安全弁駆動用予備ボンベの弁は手動で開くことが可能とすることが望ましい。 ◆ラプチャーディスク(p40) 「ラプチャーディスクを弁に交換し、緊急時でも任意のタイミングで操作できるようにします」と記されているが、奇妙な言い逃れである。福島原発では緊急時に小型発電機を用いて対応するのに時間がかかり任意のタイミングで操作できず格納容器が破損したのである。信頼性の高いラプチャーディスクに交換する、信頼性を高めるためにラプチャーディスクを複数並列配置する、あるいは圧力逃し弁と手動弁と並列で配置する等により、格納容器破損防止のためにも、緊急操作の必要性を最小化すべきである。 ◆フィルタベント設備設置(p43) 「格納容器内に溜まり、高い圧力を持った気体を大気に放出する際、フィルタを通すことで、粒子状の放射性物質の放出量を1/1000程度まで低減することができます」と記されているが、「1/1000程度まで低減」する根拠は何か?実際に格納容器内の気体を放出し、原発近郊のモニタリングポストで放射線量を実測したのか?アメリカの原発ではベント開放の定期訓練で放射線が問題になる前に、ベントの騒音が問題になっているとの報道がある。福島第一原発ではベントを実施した経験がなかったとの報道もあった。柏崎刈羽原発では過去のベント放出を行った経験があるのか?その時の放射線量や騒音はどうだったか? ◆原子炉建屋水素処理装置の設置(p43) 「水素処理装置(と称する触媒カートリッジ)で水素を取り除く」と記載されているが有効性が明確でない。福島原発2号機建屋が爆発を免れたことを教訓として、原子炉建屋の密閉性を十分広く開放するのが本筋であり、水素処理装置によって解放面積が制限されてはならない。設備自体と維持管理を無駄に複雑化してはならない。触媒カートリッジとは水素徐燃装置であろう。燃焼速度が遅ければ有効でない。燃焼速度が速すぎれば加熱して水素の引火源となる危険性がある。仮に有効だとしても経年変化と維持管理にも疑問が持たれる。水素処理装置の占める(通風妨害)面積を、大気への水素放散面積に置き換えるべきである。効果の疑わしい設備は、維持管理と訓練が複雑になるので、可能な限り排除すべきである。 ◆原子炉建屋トップベントおよびブローアウトパネルの設置(p44) 「原子炉建屋トップベントは手動で開放する」および「ブローアウトパネルはトップベントとともに開放する」との記述はあるが、「連動して開放する」とは記されていない。トップベントとブローアウトパネルは連動して原子炉下部の安全な場所から手動で同時に開放されるべきである。また、図示を見る限りトップベントによる開放面積が小さすぎるように思われる。 ◆水素逆流防止(p44) 「自らの号機内での逆流を防止するために、ベントの前に必要な弁を確実に閉めるよう、手順を整備しています」と記載されているが、その前に、必要な場所に逆止弁を設置すべきある。 ◆原子炉建屋の必要性(p43 - p44) 原子炉建屋の目的は恐らく風雨を防ぐことであろう。原子炉建屋内の設備で風雨を防ぐ必要のある設備とは何であるか再確認が必要である。原子炉上部全体を既存の原子炉建屋のように覆うのではなく、必要な設備部分にのみ最小限の、たとえば気象観測装置の百葉箱のように通風の良い覆いとすることがよいのではないか? ◆東北地方太平洋沖地震(2011年)に学んだ地震対策(p50) 「福島第二原発では、地震後も外部電源が機能を維持していたため、(中略)外部電源設備のような常用系の設備についても、可能な限り耐震強化を進めています」記されている。一方、HuffPost Japan「福島第二原発の奇跡」[13]には「被災した外部電源4回線のうち1回線だけ生き残っていたのです」と記されている。外部電源の耐震強化の中には、回線の複数化も含め、複数回線は互いに離れた異なる経路を通るよう検討すべきである。 ◆放射線モニタリング機能の強化(p54) 放射線モニタリング機能の強化は、「モニタリングカーの増配備等による」とされているが、原発構内の既設モニタリングポストに加えて、たとえば原発から30 km地点等、新潟県と協議の上原発構外にもモニタリングポストを増設し、今後のたとえば、新設フィルターベントの試験運用や訓練でも利用し、東電のみならず、新潟県による監視にも利用されるべきである。 まとめ福島第二原発の再稼働 福島第二原発は、400年に一度しか発生しない強度といわれる東日本大震災の地震と津波に耐えて、安全に停止可能であることが実証された世界で唯一の原発である。必要最小限の修理を完了すれば、最優先に再稼働すべきである。東京電力の小早川智明社長は2018年6月14日、福島県庁で内堀雅雄知事と面会し、福島第二原発について「廃炉の方向で具体的な検討に入りたい」と述べたが、東電はなぜこれを廃炉にするのか?技術的に安全性が実証された原発を廃炉にしたら、柏崎刈羽原発の安全性をどのように説明できるというのか? 設備の複雑化に関する対策 全体として安全対策のために多くの設備が追加され、作業手順も複雑化しているので、下記事項を再検討する必要がある:
外部電源遮断訓練 安全対策設備および作業が非常に複雑化しているので、安全性を全体として評価し確認するために、柏崎刈羽原発の外部電源遮断スイッチを新潟県に提供し、年1回程度の頻度で、新潟県による予告なし電源遮断を実施し、原子炉が安全に停止できるかどうか実証する必要がある。 新潟県の責任 柏崎刈羽原発を誘致した新潟県は、その見返りとして補助金の交付や地元雇用の増加等の恩恵を求めるのみならず、避難訓練を含む安全対策に参加しつつ、東電を監視する義務も伴う。安全運転を東電に一任するのではなく、監視する責任がある。人間組織の問題は理解と対策が困難であるが、安全運転に関する技術的問題は誰にでも理解できるものでなければならない。技術的問題は誰にでも同じに理解されるからこそ、専門家に任せることができるのであるが、その専門家を評価する責任はユーザーにある。ユーザーが技術的問題を理解も納得もしないまま一任すると、専門家は無責任な対応をしてしまい、結果としてユーザーが不利益を受けることになるが、それは専門家の望むことでもない。 汚染水処理 2018/09/28放送のNHKニュース解説 時論公論「原発汚染水処理 対応を急げ」[12]によると福島第一原発の汚染水を処理した後に残る大量(現在約92万t)の放射性のトリチウム水の処分には以下の費用が掛かり、最も安価な海洋放出を軸に検討を進めてきたとのことを、政府と東電は公聴会で説明した。
原子力規制委員会の更田委員長は「海洋放出が現実的で唯一の選択肢」として早めに判断するよう求めてきた。 ここまでの説明では、海洋放出が妥当かもしれないが、福島県の沿岸漁業の不振と風評被害のことを考慮すると、費用が掛かるとしても蒸発させるのが妥当かと思う。 ところが一部のタンクに基準以上の放射性のヨウ素が残されていることがわかり、公聴会でも多くの参加者が「事実を隠していたのではないか。話が違う」と問題視したとのことである。更に朝日新聞の報道[15]によると、基準値を超える放射性ヨウ素以外にストロンチウムも基準を超えるとのことである。蒸発させればストロンチウムは残留するかもしれないが、ヨウ素はトリチウムとともに蒸発して拡散してしまう。放射性ヨウ素は甲状腺がん発症の危険性が高いことがチェルノブイリ原発事故で問題視され、福島第一原発事故の後でも甲状腺がんの追跡調査が行われている。漁業組合は関心が薄いかもしれないが、医学的に問題視されるはずである。放射性ヨウ素131の半減期は約8日間と短いが、ヨウ素129の半減期は約1570万年である。ヨウ素129の残量を公表すべきである。これでは海洋放出も蒸発拡散も非常に困難であろう。さらに、原子力規制委員会の更田委員長までもが海洋放出を勧めていたとなると、東電も、政府、経済産業省も、原子力規制委員会さえも信用できない。 福島第一原発の汚染水の処分は絶望的である。公聴会で提案されたように、石油備蓄基地で使われる10万t級の大型タンクに置き換えてさらに長期間保管する以外の対策は考えられない。 理想論下記事項は現実性がない理想論かもしれませんが、検討されれば幸いです。 ●主電源喪失の回避 ●非常用海中放熱器の設置 ●密閉式非常用電源建屋 ●水素ガス発生策 ★原発新設費用高騰 ★洋上原発 VLCC(排水量50万トン・タンカー)のサイズの一例: 福島第一原発のサイズ 福島第二原発(電気出力110万kW) AFP BB NEWS「世界初、ロシアの浮体式洋上原子力発電所」[14]によると、『ロシア国営の原子力企業ロスアトム(Rosatom)の世界初の浮体式洋上原子力発電所「アカデミック・ロモノソフ(Akademik Lomonosov)」は、2018年4月28日にサンクトペテルブルク(St. Petersburg)から出航し、2018年5月4日、デンマークのランゲラン(Langeland)島東の沖合を通過した。バルト海を通って北西部ムルマンスク(Murmansk)に向かっている。ムルマンスクではアカデミック・ロモノソフの原子炉に核燃料が供給され、その後は試験を経て、2019年には、北極海航路(Northern Sea Route)を5000キロえい航され、チュクチ(Chukotka)自治管区ペベク(Pevek)の沖合で運用される予定』と報じられています。 アカデミック・ロモノソフの重量21,500ton、出力7万kW: ■原子力規制委員会の審査には、以下の疑問点があります。 1. 原子力規制委員会が、敦賀原子力発電所2号機の下にある断層について、「活断層である」という専門家委員会の評価結果を了承した(福島原発事故は地下の活断層地震が原因ではないのにもかかわらず)。 上記の例は、福島原発事故の原因と対策が曲解されているとしか思えません。 3. 前述の「汚染水処理」の項でも述べたように、原子力規制委員会の委員長は放射性物質に対する安全管理意識が欠如しているとしか考えられません。 引用データ1. 福島第一原子力発電所の事故の経過と教訓 2. 柏崎刈羽原子力発電所の安全対策[設備対策編] 3. 関西電力 HOME > エネルギー・安定供給 > エネルギー > 原子力発電について > 原子力ライブラリ > 深層防護 2014/12/26 4. 産経ニュース 政治 > 政策 原発事故想定 国の総合防災訓練を来年実施へ 米山隆一新潟県知事とエネ庁の日下部聡長官が合意 2018/01/11 5. 20130309メルトダウン連鎖の真相 6. NHKスペシャル3.11あの日から2年 メルトダウン 原子炉"冷却"の死角 7. NHKスペシャル メルトダウンFile 4 放射能"大量放出"の真相 2014/03/16放送 8. NHKスペシャル メルトダウンFile 5「知られざる大量放出」 9. NHKスペシャル メルトダウンFile 7 そして冷却水は絞られた 10. 東京新聞 こちら原発取材班 ベントフィルターいまだゼロ 国内全原発で 本紙調査(2012年03月27日) 11. 日本経済新聞 2018/09/29東電の柏崎刈羽原発、フィルター付きベント設置完了 12. NHKニュース解説 時論公論「原発汚染水処理 対応を急げ」2018/09/28 13. HuffPost Japan BLOG 福島第二原発の奇跡 2014/07/30 14. AFP BB NEWS ニュース > 政治・経済「世界初、ロシアの浮体式洋上原子力発電所」2018/05/05 15. 朝日新聞 2018/09/28 DIGITAL 汚染水、浄化後も基準2万倍の放射性物質 福島第一原発 |
用語の解説「高圧注水系」 「原子炉隔離時冷却系」 「非常用復水器」 「ベント」 「格納容器ベント」 「逃がし安全弁」 「ラプチャーディスク」 「シュラウド」 「デブリ」 |
関連ウェブサイト: 佐藤浩嗣ウェブサイト、 Permuter-S、 技師道 英文の情報源は英和・和英翻訳ソフト Permuter-S を使用して翻訳されています。Copyright (C) Permuter at . All rights reserved. |